2022.06.28
薬剤師の知識
薬剤師の離職率はどのくらい?長く働き続ける職場を選ぶポイントも
目次
こんにちは!なの花薬局の神森です。
薬剤師として長く働き続けるためには、職場選びが重要です。
長く働き続けることができる職場を見つけるための大切な指針となるのが、その職場の離職率です。
個々の職場の離職率が公表されていない場合でも、職種や店舗規模別、職場別で離職率がわかれば、職場選びの参考になります。
そこで今回は薬剤師の離職率について解説しながら、薬剤師として長く働き続けるための職場選びのポイントをご紹介していきます。
薬剤師の離職率はどのくらい?
離職率は、その職種や職場が「働きやすいかどうか」見極める目安となる情報です。
薬剤師全体の離職率と職種・規模別、職場別の離職率について見ていきましょう。
薬剤師全体の離職率は?
厚生労働省が公表している産業別の離職率(令和2年度)を見ると、薬剤師を含む「医療、福祉」業界における離職率は、14.2%となっています(参考:厚生労働省「雇用動向調査 産業別の入職と離職」)。
同じく厚生労働省のデータによると、令和2年度の常用労働者全体の離職率も14.2%(参考:厚生労働省「雇用動向調査 入職と離職の推移」)です。
つまり、薬剤師を含む「医療、福祉」業界における離職率は、平均的な数値であると考えられます。
職業を薬剤師に絞った場合の離職率については、2009年〜2010年にかけての少し古いデータになりますが、離職率は9%という結果が出ています。
※株式会社ネグジット総研 MMPR事業部【薬局経営者・経営幹部アンケート】
データの時期は異なるものの、常用労働者全体の離職率や「医療、福祉」業界の離職率と比較すると、薬剤師の離職率は低い水準にあることがわかりますね。
また、同アンケート調査で薬剤師の入職率から離職率を引いた入職超過率は5%。
離職者数を入職者数が大きく上回り、薬剤師として働く人の数は増加しています。
職種・店舗規模別で見る薬剤師の離職率
薬剤師の離職率は、職種や店舗規模によっても異なります。
株式会社ネグジット総研 MMPR事業部の【薬局経営者・経営幹部アンケート】から、具体的な離職率を確認していきましょう。
【職種別】薬剤師の離職率
- 店長職:離職率9%
- 薬剤師:離職率9%
- パート薬剤師:離職率21%
上記データから、正規雇用の薬剤師と比べると、パート薬剤師の離職率はかなり高いことがわかります。
【店舗規模別】薬剤師の離職率・3年未満離職率
- 5店舗以下:離職率6%・3年未満離職率30%
- 6〜10店舗:離職率14%・3年未満離職率33%
- 11〜20店舗:離職率11% ・3年未満離職率27%
- 21〜30店舗:離職率8% ・3年未満離職率24%
- 31店舗以上:離職率16% ・3年未満離職率42%
店舗規模別で見ると、薬剤師の離職率は31店舗以上を展開する規模の大きな薬局で特に高くなっています。
入職してから3年未満で離職する人も多く、大きな規模の薬局ほど人の入れ替わりが激しいと考えることができます。
職場別で見る薬剤師の離職率の傾向
職場によっても、薬剤師の離職率は異なります。
具体的な数値は明らかになっていませんが、薬剤師の主な職場となる「薬局」「ドラッグストア」「病院」の3つについて、それぞれの離職率の傾向についてもお話しします。
薬局
薬局は勤務時間が決まっていて夜勤もないことがほとんどのため、安定した働き方が叶う職場です。
そのため、離職率はさほど高くはありません。
とはいえ、薬局でも離職する人は一定数います。
その理由は、日々の業務が人によってはルーティンワークに感じやすいという点にあるようです。
資格の取得などに挑戦して年収アップを目指したり、活躍の幅を広げたりと、目標を持って働くことも大切でしょう。
ちなみに、全国に437店舗(2022年5月31日現在)を展開する「なの花薬局」の新卒離職率は5.0%(2019年~2021年 新入社員離職率)です。
株式会社ネグジット総研【薬局経営者・経営幹部アンケート】の店舗規模別の調査で出ていた31店舗以上の場合の離職率「16%」と比較すると、なの花薬局の離職率は低めと言えます。
また、厚生労働省が公表している、日本国内全体における就職後3年以内の離職率が新規大卒就職者で31.2%となっていることを考えても、なの花薬局の離職率は低いと言えるでしょう。
待遇や休暇制度の充実、そして何よりも「全国で愛される『地域薬局』へ」という考えに共感した仲間が集まっているためだと考えています。
ドラッグストア
ドラッグストアで働く薬剤師の離職率も比較的低いと言われています。
柔軟な働き方が叶うドラッグストアでは、ライフスタイルに合わせた働き方が叶いやすいためです。
しかし、ドラッグストアの働きやすさは、会社や店舗によって大きく異なります。
なかには人手が足りず残業が多かったり、極端に離職率が高かったりするドラッグストアもあるでしょう。
また、レジ打ちなどの関連業務も担当しなくてはならないため、薬局と比べ仕事量が多い可能性もあります。
病院
病院勤務の薬剤師の離職率は、薬局やドラッグストアと比べて高い傾向にあります。
その理由は、やはり病院勤務ならではの激務にあると考えられます。
病院薬剤師は業務量が多く、時間外の講習があったり、夜勤もこなさなければならない職場もあるため、負担が大きくなりやすいという点があるのかもしれません。
離職率が高い薬剤師の職場の特徴も知ろう
離職率が高い薬剤師の職場の特徴もご紹介します。
就職活動においては、検討する職場がこれらの特徴に当てはまらないかどうか、可能な限り事前にチェックできると良いですね!
① 給料の低さ
給料の低さは、働く人の不満に繋がりやすいです。
仕事内容や仕事量に対して給料が極端に低い職場では、当然離職率は高くなります。
また、賞与や手当の有無も確認しておく必要はあるでしょう。
②勤務時間の長さ
勤務時間が長かったり、時間がバラバラで決まっていなかったりする職場も、離職率は高い傾向にあります。
休日が少なく設定されている職場も同様です。
③人間関係が良好でない
これはどの業種でも同じですが、離職率は人間関係にも左右されます。
入職前にその職場の人間関係を見極めるのは難しいですが、離職率や口コミなどが公開されていれば、それを参考にするのも良いでしょう。
④ステップアップが見込めない
職場によっては、キャリアアップや年収アップが見込めないことがあります。
そのような職場では「知識を増やしてキャリアアップを図りたい」「年収アップを目指したい」と考える薬剤師が自身のビジョンが叶う職場へと転職してしまうため、離職率が高くなることがあります。
面接の際などに、そういったステップアップが可能か確認しておくのがおすすめです。
薬剤師が長く働き続ける職場を選ぶためのポイント
最後に、薬剤師として長く働き続けることのできる職場を選ぶためのポイントを、3つご紹介します。
ポイント1.離職率・定着率を確認
職場選びにあたっては、離職率や定着率が重要なポイントになります。
離職率・定着率については公表していない企業も多いものの、業界動向を公表するランキングサイトで調べられることもあるので一度チェックしてみましょう。
ポイント2.実際に職場を見学
気になる就職先があれば、ぜひ職場見学をしてみましょう。
仕事内容は同じでも、雰囲気は職場によって異なります。
実際に足を運んでみて、職場の雰囲気を感じたり、働く薬剤師の対応などを見たりすることが、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
なの花薬局でも、インターンシップにて店舗見学を実施しています。
薬局の雰囲気を感じられることはもちろん、「地域薬局」としての取り組みを学んだり、職員間の連携などを知ることができますので、興味のある方はぜひ一度参加してみてくださいね。
ポイント3.求める条件とやりがいを重視
長く働き続ける職場を選ぶなら、まずは職場に対する自身のニーズと、自身がやりがいを感じるのはどのような場面か考えておくと良いでしょう。
「どうステップアップしていきたいか」「どんな仕事・職場が理想か」という点で具体的にしておくと、応募する職場がやりがいを感じられる職場かどうか見極めやすくなります。
薬剤師のやりがいについては「薬剤師のやりがいは?やりがいを感じられない時の対処法も知っておこう」で詳しくご紹介しています。
また、なの花薬局では、ご要望に合わせてさまざまなキャリアパスをご用意しています。
下記ページで詳しくご紹介していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
薬剤師の選べるキャリアアップ
薬剤師の離職率は低め!ただし職場による違いに注意を
職場選びにあたって離職率はひとつの指標になります。
常用労働者の離職率や「医療、福祉」業界全体の離職率が14%台であるのに対し、薬剤師の離職率は9%程度。
このように、薬剤師の離職率は常用労働者全体の離職率と比較すると、やや低い傾向にあります。
ただし、職種や店舗規模、職場によって離職率は大きく異なります。
店舗によっては、待遇が悪かったり人間関係に問題があったりなど、極端に離職率が高いこともあるでしょう。
薬剤師として長く働き続けることのできる職場を探すには、離職率や定着率を確認しつつ、自身の理想とも照らし合わせ、総合的に見て自分にマッチしそうな職場を選ぶことが大切です。
実際に職場を見学してみることも、入社後のミスマッチを防ぐためには大切です。
なの花薬局が運営する「就活サポートコラム」では、薬学生の就活に役立つ情報を随時発信しています。
就活で悩んだときは、ぜひこちらのコラムもヒントとしてお役立てくださいね!