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2024.10.31

薬剤師の知識

薬薬連携とは?現状や課題、取り組み例をご紹介

目次

こんにちは!なの花薬局の柳澤です。

医療の高度化と高齢化社会、そして在宅医療のニーズ増加に伴い、薬物療法における薬剤師の重要性がますます高まっています。
その中で注目されているのが「薬薬連携」という取り組みです。

今回のコラムは、薬薬連携について解説します。
薬薬連携の概要や重要性、現状における課題、具体的な取り組み例などもお伝えしますので、ぜひご覧ください。

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薬薬連携とは

薬薬連携とは、病院薬剤師と薬局薬剤師が密接に連携し、患者さまの医療情報を共有することで、安全な薬物療法を継続して提供する体制のことです。

例えば、複数の疾患でそれぞれ異なる病院に通っている場合や、入院~退院~自宅療養時で使用する薬の内容が変化する場合などには、全体の情報を正しく把握した投薬管理や指導が必要です。

このような状況でも、薬薬連携がしっかり行われていれば、患者さまは安全で一貫性のある薬物療法を受けることが可能です。

薬薬連携で共有する情報は以下のようなものです。

  • 入院前に使用していた薬剤の情報
  • 患者さまの既往症
  • 過去の副作用歴
  • アレルギー情報
  • 入院中に追加や変更となった薬剤
  • 一般用医薬品や健康食品の使用状況 など

薬薬連携が正しく機能することで、退院後の薬物療法における管理がより安全になります。
副作用の早期発見や、医療機関への問題点の早期フィードバックなどにもつながるでしょう。

薬局薬剤師と病院薬剤師の違いはこちらでご紹介しています。
ぜひあわせてご覧ください。
薬局薬剤師と病院薬剤師の違いを解説!向いている人の特徴も知ろう


薬薬連携の現状と課題

これまでも、病院薬剤師と薬局薬剤師間の連携は一般的に行われてきました。
しかし、現在は地域全体での連携の重要性が認識されています。

また、2020年9月の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称:薬機法)」の改正施行により、薬剤師による服薬指導や服薬管理、患者さまの病状変化のフォローアップなどがこれまで以上に重視されるようになりました。
特に、地域の薬剤師がかかりつけ薬剤師として取り組んでいくためにも、薬薬連携は欠かせません。

医療機関の地域連携の重要性についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
地域連携薬局とは?認定要件や求められる役割もご紹介

薬薬連携における課題

現状、薬薬連携を進めていくには、以下の2点に課題があるといわれています。


薬剤師のマンパワー不足による情報提供・収集、連絡体制の不足

現在、病歴や薬歴の共有は処方箋やお薬手帳によるものが一般的です。
しかし、患者さまが処方情報をお薬手帳に貼り忘れてしまうと、過去~現状の服薬情報を正確に把握することが困難になります。

さらに、薬剤師が「ほかに病院にかかっていませんか?」や「以前の薬で副作用はありませんでしたか?」といった個別の聞き取りを行うにも、限界があります。

適切な医療情報が提供されず、収集・共有できなければ、適切な薬物療法を行うことが難しくなり、治療や健康に影響を及ぼす可能性があります。


個人情報の取り扱い

薬薬連携で共有する医療情報には、患者さま本人の個人情報に加え、場合によっては介助者の情報も含まれることがあります。
これらの繊細な情報を適切に管理することが求められます。

そのため、個人情報の適切な取り扱いと、それに関わる医療従事者のリテラシー向上が課題の一つとなっています。


薬薬連携の取り組み例

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薬薬連携を進めるための具体的な取り組み例をご紹介します。

研修会・勉強会の実施

病院や地域の薬局が合同で定期的な研修会や勉強会を開催し、最新の医療情報や地域の医療課題の共有、スキルアップなどを図ります。
また、普段は直接交流の少ない薬局薬剤師と医師の関係性を構築する効果も期待されています。

退院時地域連携の強化

退院時の「薬剤管理情報提供書」の作成・提供により、患者さまが希望する薬局へ情報を共有します。
これにより、退院時・退院後の服薬指導を強化でき、薬局薬剤師から医師や病院薬剤師への問い合わせを行いやすくなります。

地域医療情報連携ネットワークの活用

医療情報連携基盤(EHR:Electronic Health Record)システムの活用による、情報共有も広がっています。
患者さまの医療情報をシステム内で管理し、地域の医療機関で共有・閲覧可能にする仕組みです。

ただし、現状では医療機関や薬局の登録数はまだ十分ではなく、システムが十分に活用されていないケースも見受けられます。


なの花薬局を運営するメディカルシステムネットワークでは、地域医療の中で薬薬連携を積極的に推進しています。
例えば、全薬局にタブレットを導入し、薬歴作成業務を効率化することで患者さまとの対話時間を増やす工夫を行っています。

また、LINE公式アカウント「つながる薬局」を自社開発し、導入することで、患者さまが自宅からでも気軽に健康や薬に関する相談ができる環境を整えています​。
なの花薬局の取り組み

これにより、患者さまの安心感を高め、薬物療法の質を向上させる取り組みを進めています。


薬薬連携は情報共有により安全で一貫した薬物療法を提供する仕組み

薬薬連携とは、病院薬剤師と薬局薬剤師が患者さまの医療情報を共有し、安全で一貫した薬物療法を提供する仕組みです。
高齢化や在宅医療の増加に伴い、その重要性がますます高まっています。

一方で、マンパワー不足による情報提供、収集、共有の不足や、個人情報管理などの課題が指摘されています。
しかし、地域医療の発展やかかりつけ薬剤師の役割が重要になる中で、薬薬連携不可欠な取り組みとなっています。

さらなる連携強化を目指し、研修会や地域医療ネットワークの活用などを通じた薬薬連携の取り組みが進められています。

なの花薬局では、薬剤師の就活に役立つ情報を随時発信しています。
薬剤師を目指す方や薬剤師の働き方について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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