2023.09.27
薬剤師の知識
地域連携薬局とは?認定要件や求められる役割もご紹介
目次
こんにちは!なの花薬局の小倉です。
2019年の薬機法(医薬品医療機器等法)改正により、患者さまが自分に合った薬局を選択しやすくするための薬局の認定制度が新設されました。
今回は、これによって新設された認定薬局「地域連携薬局」について解説します。
地域連携薬局とはどんな特徴や役割を持つのかを解説し、「かかりつけ薬局とはどう違うのか?」といった疑問を解消します。
認定を受けるための要件や申請方法等もご紹介します。
地域連携薬局とは?申請方法も確認
地域連携薬局とは、「患者さまの入退院や在宅医療の対応時にほかの医療機関と連携して対応・サポートできる薬局」と認定された薬局のことです。
これは2019年の薬機法改正で定められ、2021年8月よりスタートした特定の機能を持つ薬局の認定制度(認定薬局制度)によるものです。
地域連携薬局は、医療機関と情報共有を行い、服薬などの薬物療法を一元的・継続的に対応することが期待されています。
認定薬局制度新設の背景
認定薬局はこれからの薬局が持つべき機能を明確にしたものです。
近年は、高度な治療を受ける場合も入院はせず、自宅で生活をしながら通院や在宅で治療を行うケースが増えています。
そのため、住み慣れた地域や自宅で安心して治療を続けられる環境を整えることが重要となり、認定薬局制度が新設されました。
薬局の特徴や機能を明確にすることで、患者さまが自分に必要な薬局を選びやすくなります。
なお、2019年の法改正では「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の2つの認定薬局が新設されました。
「専門医療機関連携薬局」は、がんなどの専門的な薬学管理についてほかの医療機関と連携して対応できる薬局であることを認定するものです。
地域連携薬局の認定を受けるには?申請方法を確認
「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」は、各都道府県知事から認定を受けます。
認定を受けるには、申請書と添付書類(認定基準に適合することがわかる書類など)を受付窓口である薬局の所在地を管轄する保健所へ提出します。
保健所で形式審査をしたあと、審査窓口である各都道府県庁で内容審査を行い、認定基準に適合していれば、都道府県知事より認定証が発行され、保健所を通して交付されます。
認定期間は1年間で、更新は有効期限満了の50日前までに更新申請書を受付窓口へ提出する必要があります。
地域連携薬局の認定要件をご紹介
地域連携薬局の認定要件は、大きく分けて以下の4点が設定されています。
- 構造設備
- 利用者の薬剤等の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制
- 地域の利用者に対し安定的に薬剤を供給するための調剤及び薬剤の販売業務体制
- 居宅等における調剤及び指導を行う体制
※厚生労働省通知「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係)」より
それぞれの認定要件について、詳しく見ていきましょう。
構造設備
プライバシーへの配慮、バリアフリーへの配慮など、患者さまが安心して相談できる体制、設備が整っていること。
例)プライバシーを守れる相談スペースの確保、座ったままお薬の情報提供や相談を受けることが可能、手すりやスロープ設置など
利用者の薬剤等の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制
地域の医療提供施設と情報共有を行なっていること。
入退院時も切れ目のない医療を受けられるほか、お薬の重複投与や相互作用による副作用を防ぐことができ、適正なお薬の使用ができて安心です。
情報共有実績は申請の前月の過去1年間で月平均30回以上求められます。
例)患者さまの入退院時、外来利用時における医療機関との情報共有実績、多職種との会議への参加、在宅医療での指導を報告書にまとめて医療機関と情報共有など
地域の利用者に対し安定的に薬剤を供給するための調剤及び薬剤の販売業務体制
安定的に薬剤の調剤、販売ができる業務体制であること。
例)休日や夜間、時間外の対応や、ほかの薬局から求められたときに在庫を提供できる、麻薬や無菌製剤処理ができる体制、継続的な常勤薬剤師の確保、地域包括ケアシステムに関する研修への参加など
居宅等における調剤及び指導を行う体制
在宅医療への対応ができる体制であること。
例)月平均2回以上の在宅医療への対応実績、訪問診療に関わる医療機関等に対して医療機器や衛生材料の提供ができることなど
なの花薬局の在宅訪問についてはこちらのページもご覧ください。
薬剤師の在宅訪問
地域連携薬局に求められる役割
地域連携薬局はその名の通り、患者さまに対して地域包括ケアを提供することが大きな役割です。
外来受診時だけではなく、入退院や在宅医療に際し、ほかの医療機関と連携をとりながら服薬について一元的・継続的に情報管理、指導、対応することが期待されています。
また、患者さまに対する服薬指導だけでなく、ほかの薬局に対しても情報発信や研修、医療品の提供などを通じて業務を支えていくことも役割の一つです。
なの花薬局も、地域連携薬局に認定されている店舗があります。
地域に根付いた薬局として、地域の皆様を一番近くで見守り、サポートできる存在でありたいと考えています。
地域連携薬局は「かかりつけ薬局」「健康サポート薬局」とどう違う?
かかりつけ薬局・薬剤師とは、薬や健康、介護に関する豊富な知識を持ち、患者さまのニーズに沿ってこれらの相談に応じることができる薬局・薬剤師のことです。
医療機関と連携、情報共有をしながら服薬についての情報管理や指導を一元的、継続的に行い、必要に応じて在宅対応や24時間対応なども行います。
健康サポート薬局は、かかりつけ薬局の役割を持ちながら、なおかつ、病気の予防や健康維持に向けた取り組みが重要な役割とされている薬局です。
かかりつけ薬局・薬剤師や健康サポート薬局の特徴、役割についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
かかりつけ薬剤師になるための要件や条件をチェック!メリットもご紹介
健康サポート薬局とは?患者さまのメリットや認定要件をチェック!
「地域連携薬局」と「健康サポート薬局」はどちらもかかりつけ薬局として患者さまに寄り添い、一元的・継続的な対応をする部分は同じですが、健康サポート薬局は病気になる前から予防や健康維持のための支援を行う、地域連携薬局は病気になったあともほかの医療機関と連携して住み慣れた地域で安心して暮らせるための支援を行う、という点に違いがあります。
現在、薬剤師に求められる役割は単に薬剤の提供や管理にとどまらず、地域医療の一翼を担うことも重要視されています。
これからの薬局・薬剤師に求められる役割について「薬剤師に求められる役割とは?活躍の場ごとの役割もチェック!」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
地域連携薬局とはほかの医療機関と連携して患者さまを支える薬局
地域連携薬局とは、ほかの医療機関と連携をとりながら患者さまをサポートする薬局です。
2019年の薬機法改正で新設され、2021年8月よりスタートした認定薬局制度の一つで、一定の要件を満たした薬局が都道府県知事より認定を受けられます。
通院や在宅で治療を行う患者さまが増えていることを背景として新設され、自宅での療養をサポートするのが目的です。
薬局の特徴や機能を明確にすることで、患者さまが自分に必要な薬局を選びやすくなります。
患者さまが安心して地域や自宅で療養できるよう、服薬について情報管理・指導を一元的・継続的に行うことを期待されています。
地域連携薬局の認定要件は、大きく分けて①構造設備 ②他医療機関との提携体制 ③薬剤の安定共有体制 ④在宅医療の対応体制 の4つです。
また、地域包括ケアシステムの一翼を担うと同時に、ほかの薬局に対しても情報発信や研究、医療品の提供を行い、業務を支えていくことも役割の一つです。
なの花薬局では、薬剤師の就活に役立つ情報を随時発信しています。
薬剤師を目指す方や薬剤師の働き方について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!