2020.12.29
薬剤師の知識
薬剤師の就職先とは?業務別の仕事内容や就職状況、選び方を解説!
目次
薬学生の皆さん、こんにちは!なの花薬局人事部で国家資格キャリアコンサルタントの小山(おやま)です。
早速ですが皆さん、就職活動は順調でしょうか?
3月の就職活動解禁に向けて準備を進める中で、色々な悩みを抱えられている方も多いのではないかなと思います。
「そろそろ就職活動を本格的に始めないと。。」という方もいるかもしれませんし、「合同説明会やインターンシップには参加したけど、結局どの仕事が自分に向いているかわからない。。」という方もいるかもしれません。
就職先を選ぶにしても、薬剤師の就職は病院や薬局、ドラッグストアなど仕事内容の違いが分かりづらいため、どう選んでいいか悩む人も多いのではないでしょうか?
今回は、そんなお悩みを抱える皆さん向けに、薬剤師の就職先や仕事内容をまとめてお伝えします。
薬剤師の就職状況や、後悔しないための就職先の選び方などについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
薬剤師としてのキャリアの第一歩となる就職活動。
迷っている点はスッキリ解決させて、じっくりと進路を選びましょう!
薬剤師の就職とは?就職先や仕事内容にはどんなものがある?
「薬剤師の就職先」と聞いて皆さんはどんなイメージを持っていますでしょうか?
病院や調剤薬局の調剤室で働いている姿を浮かべる人が多いかもしれませんが、実はそれ以外にも多くの活躍できる場所があります!
まずは、薬学生の皆さんからよく聞く就職先の仕事内容や特徴を紹介していきたいと思います。
①調剤薬局
調剤薬局は薬剤師の就職先として最も多い職場です。
給与の高さは薬剤師のなかでは平均的な水準ですが、病院に比べると残業や休日出勤が少なく長く働ける環境があります。
調剤、服薬指導、薬歴管理、疑義照会、医薬品の管理・販売といった薬剤師の仕事を一通り経験できるので、将来、転職しても薬剤師としての技術や経験を生かすことができます。
在宅医療などを通して患者さまに長く寄り添っていくので、やりがいを感じる機会も多くあります。
②ドラッグストア
ドラッグストアは就職先としての採用数が多く待遇も安定しています。
給与が薬剤師のなかでも高い傾向にあるのが魅力です。
ただし、ドラッグストアによっては、人手不足で勤務時間が長く、休日出勤が多い職場もあります。
また、一般用医薬品の取り扱いが多くなるため、薬剤師としての専門性が発揮できないケースも多くなり、薬剤師として必要な技術や経験が身につきにくいといったデメリットがあります。
調剤室が併設された店舗も近年増えてきており、調剤業務専任として働けるドラッグストアもあります。
③病院
病院は医療に貢献している実感を得られやすい職場ですが、残業や夜間勤務があるので、仕事内容は薬局に比べるとハードです。
給与面も薬剤師の中では低い傾向があるので、収入の高さや待遇よりも、医療に貢献したい人や、やりがいを求めている人、症例に触れ専門性を高めたい人に向いています。
都道府県が運営している病院に就職すれば、公務員扱いになるため給与も高くなりますが、募集枠が少なく採用されるのも難しいです。
④製薬企業
製薬企業は給与が高く、研究開発部門は最も人気が高い就職先の一つですが、求人数が少ないので薬剤師の資格を持っているだけでは就職するのは難しいでしょう。
製薬企業では海外の企業と専門的なやり取りを行う場合が多いので、英語力が高ければ就職には有利です。
製薬企業でもMR(医薬情報担当者)であれば比較的容易ですが、総合職の採用も行っているので一定以上のコミュニケーション能力も必要となります。
ただし、薬剤の取り扱いよりも営業が主な仕事になり、臨床の現場や調剤業務に関わることはほとんどありません。
その他にも「公務員」「医薬品卸企業」「大学」等も候補として上がります。
同じ薬剤師として働くとしても、それぞれ働き方も違えば、メリット、デメリットがありますので、就職先を選ぶ際はよく検討が必要になります。
薬剤師の就職状況や傾向を知ろう!
続いて、ここからは就職先を選ぶ際に参考となる情報をいくつかご紹介していきます。
①主な就職先別の薬剤師数
まずは先ほどご紹介した就職先の薬剤師数内訳や割合を見ていきたいと思います。
就職先 | 人数 | 割合 |
薬局(調剤薬局・ドラッグストア) | 約18.0万人 | 58.0% |
医療施設 | 約6.0万人 | 19.3% |
医薬品関係企業(製薬企業) | 約4.1万人 | 13.3% |
衛生行政機関 | 約6700人 | 2.1% |
大学 | 約5200人 | 1.7% |
その他 | 約1.7万人 | 5.4% |
※出典:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省
大半が調剤薬局・ドラッグストアに就職していますね。
その理由は多くあると思いますが、一つには薬剤師は女性が多いということも関係しているかもしれません。
②薬剤師の男女比
男女比を見てみると以下のようなイメージとなります。
●女性:61.3%
●男性:38.7%
※出典:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況|厚生労働省
約6割が女性となるため、結婚・出産後も長く活躍できる環境を整えている就職先が人気になる傾向があります。
③薬剤師の年収
次に年収の面でも考えてみましょう。薬剤師の平均年収は以下の通りとなっています。
【薬剤師男女別年収比較】
薬剤師年収 | |
全体平均 | 562万円 |
男性平均 | 600万円 |
女性平均 | 536万円 |
男女別の平均年収を比較してみると、男性575万円に比べて女性が525万円となっており、性別毎の差はあまりない傾向があります。
また、参考までに年齢別の年収も合わせて見てみると、年収が格段に高くなるということはないものの、年齢に比例して安定して向上しているのがわかると思います。
【薬剤師の年齢別年収】
男性 | 女性 | |
20代 | 416万円 | 428万円 |
30代 | 617万円 | 525万円 |
40代 | 678万円 | 590万円 |
50代 | 725万円 | 645万円 |
60代 | 576万円 | 562万円 |
このことからも、薬剤師という職業が男女の差がなく、長く活躍できる環境であるとわかっていただけたのではないかと思います!
薬剤師の就職先の選び方は?
それでは、ここまで薬剤師という職業について紹介をしてきましたが、最後に肝心の就職活動時にどうすれば後悔のない就職先を選べるかについてお話しさせていただきます!
具体的な方法として「自己分析」と「業界研究」があります。
自己分析
まず、皆さん耳にタコができる程聞いているかと思いますが、「自己分析」は非常に重要です。
自己分析は大きく「自分を知る」ことと「会社選びの軸を知る」ことの2つが重要なので、それぞれ説明していきたいと思います。
①自分を知る
就職活動は自分自身のことを考えるいい機会です。
皆さんは、自分自身について考えた経験はあるでしょうか?自分が大切にしたいことや、5年後10年後にどうなっていたいかを考えたことはあるでしょうか?
恐らく多くの方がしっかり考えたことがないのではないでしょうか。
せっかく働くのであれば、自分にとってやりがいがあり、自分が大切にしたいことを応援してくれる環境で働きたいですよね。
そういった会社を見つけるためには、まずは自分自身がどういった価値観を持っていて、何を大切にしたいかを見つめなおすことが必要です。
そのための方法として「過去を振り返る」ということをオススメしています。
なぜなら『現在』の皆さんは過去の積み重ねでできているからです。今まで歩んできた過去があり、現在があり、そして未来に繋がっているというイメージを持ってもらいたいのですが、過去を振り返ることで皆さんの現在の価値観やそのルーツが見えてきます。
過去を振り返るときのコツとしては、自分自身が何をしているときにモチベーションが上がったか(嬉しかったか)、何をしているときにモチベーションが下がったか(悲しかったか)をぜひ思い出してみてください。
例えば、部活の経験からチームで目標に向かって頑張っているときにモチベーションが上がった。受験勉強で成績が上がらずモチベーションが下がった等です。
その経験から、今後どういった環境(会社)に身を置けばモチベーション高く仕事をし続けられるかを知ることができます。
その上で、5年後、10年後に自分がどうなっていたいかを想像してみると、過去と現在の延長で考えることができるので、より明確になりやすいと思いますよ!
②会社選びの軸を知る
続いて、会社選びの軸を知るということに関してお話します。
まず前提として、全ての人にとって100点満点の就職先はありません。ですので、自分自身に合っているか、魅力を感じるかがとても重要です。
ただ、そうは言っても「どの会社もよく感じるな。。」「調剤薬局は全て同じに見えてきた。。」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そんなときに会社選びの軸を決めておけば選ぶ基準ができるので、就職先の選定に役立ちます。
では、肝心のどうやって決めるのかという点ですが、「給与」「雰囲気」「研修制度」等、会社を選ぶ際のポイントになる要素をピックアップして、そこから優先順位を付けるという作業を行います。
優先順位を付けないと、どれも目に入って悩んでしまうことになります。給与等はもちろん高いに越したことはないですが、優先順位を付けてみると実はそこまで上位に来ないという方もいるかと思いますので、ぜひ試してみてください。
また、5年後、10年後にどうなっていたいか明確になっている方は、そこから逆算して決めてみるのもいいと思いますので、お試しくださいね。
例えば、「10年後には認定資格を取得して専門性を向上させていたい」という方は認定資格の取得支援制度があることが重要な要素になる等ですね。
ここまで自己分析の重要性についてお話させていただきましたが、続いて業界研究についてお話させていただきます。
業界研究
自己分析に加えて、業界研究も皆さん気になるところですよね?
自己分析を進めても業界研究ができていないと満足のいく就職活動ができないので、ぜひ業界研究も進めたいですね!
もちろん各就職サイトを見ることや、インターンシップに参加してみることは非常に重要なのでやっていただきたいのですが、人によっては情報の偏りが出てしまう方もいるかもしれませんので、そういった方向けに業界研究の方法をお伝えしたいと思います。
①知名度や規模の大きさに関係なく多くの企業を見る
新卒の就職活動では、知名度の高い会社や規模の大きい会社に興味が偏ってしまいがちです。
もちろん、先ほどの自己分析の優先順位付けで、会社の規模が大きいことや知名度が高いことが上位にくるという方であれば問題ないかと思いますが、恐らくそこまで重要ではない(それよりも重要なことがある)という方も多くいるはずです。
業界研究の段階では、視野を広げて見ることで情報の偏りを少なくすることができます。大病院には大病院ならではのデメリットもありますし、大手調剤薬局よりも地域密着型で活躍している中規模薬局もあります。規模の小さい会社の方がキャリアアップしやすかったり、給与が高い傾向もあります。
会社規模毎のメリット・デメリットを把握して幅広い視野で捉えた上で、自分に合った企業を選んでみてください。
そのために、まずは合同企業説明会で病院、調剤薬局、ドラッグストア等たくさんの企業を見てみるとよいでしょう。特に調剤薬局は中小規模の会社が非常に多いので、社名を聞いたことがないと思っても話を聞いてみることが重要です。実は自分にとっていいと思える会社が隠れているかもしれませんよ!
たくさん見ることで自分に合う、自分が望んでいる企業が見つかるかもしれません。
②大学の卒業生に話を聞く
就職活動の時期になると、大学内の就職セミナーで企業の人事担当者や卒業生に会う機会があるかと思います。
ぜひそういった機会で卒業生に話を聞いてみてほしいのですが、他の学生がたくさんいる場合、1つか2つ程度の質問しかできないと思いますので、個別に先輩に会って話を聞くことをオススメします。
1年目、2年目の先輩であれば入社前とのギャップや新人研修等の話を聞けるでしょうし、4年目以上の先輩であれば管理薬剤師や薬局長等にキャリアアップしている方もいるかもしれませんので、キャリアのイメージや認定資格を目指しているか(もしくは目指している同僚がいるか)を聞いてみてもいいと思います。
同じ大学の後輩であれば時間をつくってもらいやすいこともありますし、気になる企業の店舗見学などで卒業生がいる店舗に行って話を聞いてみたい!と人事担当者に調整をお願いするのもいいかもしれません。
人事担当者もそういった積極的な相談であれば可能な限り相談に乗ってくれると思いますよ!
「自己分析」も「業界研究」も自分一人でやるには限界がありますので、ぜひそういった内容のインターンシップを利用してみたり、大学のキャリアセンターや企業の人事担当者に相談してみると、より具体的になっていくと思います!
そもそも就職活動って何からやればいいの!?という方は以下のページも合わせてご覧くださいね。
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新卒での就職活動は基本的には生涯に一度だけですから、なんとなく会社を決めて入社後に「こんなはずじゃなかった」と思いたくはないですよね?
私自身も薬学生の皆さんと日々話をする中で、たくさんの悩みを抱えられているなと実感していますし、むしろこの機会にたくさん悩んでほしいなと思います。
もちろん、卒業研究や国家試験対策は非常に重要なことです。
ただ、大学生活は6年で終わりますが、社会人人生は30年、40年と続きます。
そのスタートラインである最初の会社選びはとても重要です。
これを読んでいただいた方には、5年後、10年後に自分のなりたい薬剤師像に少しでも近づいていってほしいなと思います。
そのために、今が踏ん張り時だと思って就職活動をしっかり頑張りましょう!(くれぐれも体調管理には気を付けましょうね!)
皆さんの就職活動がうまくいくように応援しています。
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